脱・価格競争 商品の価値を下げないマーケティング術
こんにちは、気になる!ECです。
ネットショップでは非常に多くの商品が流通しており、店舗によって同じ商品でも価格が全然違うという事も珍しくありません、Googleのショッピングサービスや、価格.com等の比較サイト、巨大モールの台頭などにより同じ商品の比較検討が容易になった現在、多くの方が「最安値」で商品を購入したいと考えて調べた経験があるのではないでしょうか?
このような背景で、ネットショップ市場でも「価格競争」の激化が問題になりつつあります。
今回は価格競争が激化することによるデメリットや、どのように価格競争を避けていくのかという方法、価格競争脱却の成功事例などをとことん調査していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
目次
価格競争とは?
価格競争とは、最安値を競って商品の販売価格を引き下げる事です。同一メーカーの商品を複数のショップが扱うようなショッピングモールサイトでの販売や、シェアを大きく持つ「プライスリーダー」が存在しない場合などは、小売店同士が価格競争に発展しやすい傾向があります。
消費者にとっては、商品をより安価に購入できるチャンスに見える価格競争ですが、小売店や企業にとっては、薄利多売な状況、最悪の場合は赤字で最安値を狙わなければいけない状況に追い込まれてしまう危険な状態です。
まずは価格競争によって、ショップにどのような不具合が発生するのかを詳しく見てみましょう。
価格競争のデメリット
01 – 低価格になり薄利多売、もしくは経営破綻の原因に
先述の通り、価格競争によって小売店は「薄利多売」の状況が続きます。つまり、商品を販売した際の粗利額が少なく、一定の利益を得るために大量の商品を売りさばかなければいけない状況です。ネットショップの場合は特に、商品を1つ販売するにも「送料」「梱包剤の費用」「梱包・ピッキングの人件費」「在庫保管費用」等たくさんの手間と費用がかかります。少ない粗利でたくさんの商品を販売しようとすると少人数でこれらの作業を行う必要があり、薄利多売状態に陥ったネットショップの運営状況は健康的な状態とは言えないのが現実です。
また、たくさんの在庫を持てる大手のショップであれば、一部のセール品を赤字に設定することで価格競争を突破し、他商品を抱き合わせで販売することで利益を得ることが可能ですが、品揃えの少ないネットショップではそのような手法が難しいため、小さなネットショップほど価格競争に巻き込まれたときのダメージは大きいと言えるでしょう。
02 – 価格を保てなくなったときに急激に売り上げが下がる可能性
価格競争で勝ち取った最安値だけを武器に販売している商品は、最安値を他ショップに奪われた瞬間売り上げが大幅に下がることが想像できます。対抗して価格を下げれば下げるほど、利率が低くなり自分自身の首を締めることになりかねません。
また、赤字覚悟で一時的に最安値を奪取する事ができたとしても、販売価格を保てなくなれば、赤字のまま販売数が減少することになるでしょう。
このように、「価格だけ」が商品のベネフィットである場合、常に最安値を更新し続けなければ商品を売り続けることができず、ネットショップ内部の疲弊の原因となります。
03 – 価格だけで選ぶ顧客はリピーターになりづらい
冒頭でも記述した通り、多くの消費者は同じ商品であれば出来るだけ安く購入したいと考えています。価格競争で1位になれば安価な商品を求める購入者が商品を購入しますが、そのような消費者はショップではなく商品の価格のみをみて購入を決定している事が多く、リピーターとなる可能性が少ないのが特徴です。
一時的に購入者を多く呼び込むことが出来ても、商品が最安値ではない場合は他のショップへ移ってしまうことが考えられます。
価格競争の事例
ここで、ネットショップ業界ではありませんが、価格競争の結果大ダメージを受けることになってしまった事例をご紹介します。「安さ」をアピールポイントにしたファーストフードチェーンでは、顧客に「高い」と思われる事は企業にとって大きなダメージとなります。そのため、原材料費や人件費などのコストが値上がりしてもなかなか値上げに踏み切ることが難しいことが現状です。
このような状況が続く中、2014年にマクドナルドの仕入先で、使用期限の過ぎた鶏肉を使用していたことが問題となったことは記憶に新しいのではないでしょうか。。
低価格にこだわった事がすべての要因では無いかもしれませんが、価格競争によってブランドイメージや顧客の安心感に大きなキズをつけてしまった例と言えるでしょう。
価格競争を避けるためには
価格競争がショップや企業にもたらす不利益についてお分かりいただけたでしょうか。それでは、価格以外の部分で他社と差別化し、『競争を避ける』ためにはどのような戦略を持てばよいのでしょうか。
ここでは、価格競争を避ける為の手段を3つご紹介します。
01 – マーケティング心理学を利用する
まず、価格競争に入る前に「商品をどれだけ高く(商品の価値を下げずに)販売できるか」という事に目を向けてみましょう。以前気になる!ECでもご紹介したマーケティング心理学の中には、商品を高いと思わせないテクニックも隠されていますので、いくつか代表的なものを2つご紹介します。
価格VS時間(経験)の法則は、商品の価格よりも、その商品を使用してどのような価値のある時間を過ごせるかという事に、人は多くの対価を払うという心理です。
例えば、ハワイ旅行のパッケージツアーを販売する際に、下のような3つの売り文句を用意します。どの売り文句が一番多くの顧客の興味を引くことができるでしょうか。
①この夏はハワイ旅行へ行きませんか?
②たったの〇〇万円でハワイへ旅行できます!
③〇〇万円で最高の夏をハワイで過ごしませんか?
価格VS時間(経験)の法則に基づくと、多くの方が、③の文章に興味を惹かれます。②では価格面でのお得感を打ち出していますが、③は費用を支払ったことによりどのような時間を体験できるかという事を謳っていますよね。
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人は、お金を消費する時に脳内で物理的な痛みと同じような感覚を感じている事が、カーネギー・メロン大学、スタンフォード大学、MITの共同研究でわかっています。よく見かける抱き合わせ販売の手法は、セットで金額がお得になる事だけでなく、この心理効果をうまく利用していて、セットにすることで脳が感じる痛みを一回で済ませる事が出来るのです。
人は無意識にこの痛みを避けたいと思っているため、セット販売はついお財布のひもが緩くなってしまうんですね。
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02 – モールでの価格競争から脱却する
ネットショップ業界の中でも、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングといった「ショッピングモール型」の店舗は、他ショップと非常に比較されやすい環境です。もちろん、サイト内検索や、モール自体のSEO対策の効果によって、その他ECと比べて消費者の目に入りやすい、モールのセール等の恩恵を受けることができるなど、たくさんのメリットがあることは確かですが、価格競争の一点に焦点を当てたときには、モール内でも独自の仕入れルートを持つ超大型店舗に勝算がない事が多いでしょう。
モール出品と並行して、自社ECサイトを強化することは、価格競争を避ける最善の手段でもあります。モール出品と比較して自社ECの場合はサービス提供の自由度も高い為、アフターサービスや購入時の相談窓口等、付加価値をつける手段も多くありますので、価格以外の面で勝負ができるようになることが理想です。
自社ECは持たずにモールで勝負する場合にも、競合を避けた商品を発掘したり、ショップの信頼獲得に重点を置くなど、大手ショップとの価格競争に参戦しないことが重要です。
03 – 「本当に良い商品」の開発・セレクトに注力する
先ほども例に挙げたように、競合を避けた商品を出品する事は、価格競争を避けるうえで重要なポイントです。自分やショップの運営チームが「本当に良い」と思える商品を厳選したり、自社で商品開発が可能であれば、他にないような商品開発を目指しましょう。その際に大事なのは、ただ商品を並べるだけでなく、その商品を出品した・良いと思った背景、製作のストーリーを開示することです。
商品にストーリー性を持たせることで、ショップや商品のファンが生まれ、「次もこのショップで買いたい」というリピーターになります。
価格競争脱却の成功事例
価格競争を脱却する為の手段をいくつかご紹介いたしましたが、もちろん状況や扱う商材によって対策が異なり、難しい部分ではあるかと思います。「商品の価値を下げすぎない事」「価格以外の部分で差別化を行う事」をメインに、試行錯誤していくのが良いのではないでしょうか。
ここで、大手企業の価格競争脱却の成功事例を2つご紹介します。
01 – ユニクロの事例
ユニクロは従来、安さを売りにしたファストファッションブランドとして知名度を挙げてきました。しかし、H&M・ZARAなどの海外ファストファッションブランドの日本上陸などもあり、アパレル業界の大量生産・大量消費による価格競争が激化してきました。
そこで2006年、ユニクロの低価格帯ブランドとして「GU」を発足。他店を圧倒する価格で旬のアパレルを提供し始めました。GUを「プチプラブランド」として位置づけ、価格競争に参加させることにより、ユニクロから「安い」イメージの払拭に成功したのです。
昨今のユニクロは、機能性を重視した物や素材にこだわった商品などを幅広く展開し、客単価を引き上げることに成功しています。
02 – 吉野家の事例
牛丼チェーン店は、ファストフードの中でもシビアな価格競争を繰り広げるジャンルです。その中で吉野家は、あえて低価格を打ち出すことをやめ、今まで牛丼屋のメインターゲットではなかった女性に焦点を当てたミニ盛のメニューや、人気ゲームのポケットモンスターとコラボしたキッズ向け商品の「ポケ盛」、パーソナルトレーニングでおなじみのライザップとコラボして健康志向の人々まで取り込むなどで客層を広げる戦略を行いました。
また、「吉呑み」と称してご飯無しの「皿」メニューとアルコールをセットで訴求し、客単価の向上にも成功しています。
いかがでしたか?EC市場が拡大するにつれ、価格競争の激化は避けられません。しかし、価格以外のベネフィットを顧客に提供する事ができれば、価格競争に参加せずにEC市場で勝ち残ることも可能なのではないでしょうか。
今回ご紹介した、価格競争脱却の手法や事例を参考に、ご自身のショップにあった方法を見つけてみてくださいね。
以上、「脱・価格競争 商品の価値を下げないマーケティング術」でした。最後までお読みいただきありがとうございます。
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